「私が管理職なんて…」は過去の話?女性管理職に関する調査からわかった、女性リーダーを後押しする支援体制の必要性

難波寛彦

有価証券報告書においても開示必須項目となっている「女性管理職比率」。課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.7%と過去最高となっている一方、その上昇率は鈍化しているのが現状です。女性向け人材サービス企業「Waris」が行った女性管理職に関する調査の結果からわかったのは、働き方や社内コミュニケーションにおける女性管理職の理想と現実でした。

2023年3月期から、上場企業における有価証券報告書の開示必須項目となった「女性管理職比率」。厚生労働省の雇用均等基本調査によると、企業の課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は、2022年度時点で12.7%と調査開始以来最も高い水準に。一方で、2021年と比較すると0.4ポイントの上昇にとどまるという結果になっています。

また、内閣府の男女共同参画局が行った2023年7月時点の調査によると、全上場企業の女性役員数は2022年から648人増加し4302人となっていますが、役員に占める女性の割合は10.6%と全体の約1割ほどしかいないというのが現状です。

こうした状況をふまえ、フリーランスやリモートワークなど女性の多様な働き方を支援する人材サービス企業「Waris(ワリス)」が、3月8日の国際女性デーを前に「女性管理職に関する調査~現場の声から課題と女性管理職増への示唆を探る~」の結果を発表。

初めて管理職を打診されたときに「なりたいと感じた」と回答した人が8割を超えた一方、女性管理職の悩みとして「男性中心のコミュニケーションや組織風土」が挙げられるなど、女性管理職ならではの障壁があることも見受けられる結果となったことがわかりました。

管理職に就くことには好意的

調査は、Warisに登録する管理職経験のある女性を対象に、2024年1月10日から1月26日にかけて実施。WEBアンケートフォームにより260件の回答が得られました。

調査結果によると、「初めて管理職を打診されたとき、管理職になりたいと感じたか」という質問に対し、「はい」「どちらかというと はい」という回答は8割を超える結果に。

株式会社Waris

「管理職になりたいと感じた理由(複数回答)」については、「経験やスキルを磨きたいから」が61.7%、「裁量を広げたいから」が60.8%、「より高い給与や報酬を得るため」が50.7%と、キャリアやスキルを向上させるための手段として、管理職に就くことを概ね好意的に捉えていたという人の回答が多く見られました。

株式会社Waris

一方で、「管理職への挑戦でハードルとなったこと(複数回答)」についての回答は「ワークライフバランスへの懸念」が39.6%、「管理職で苦労している点や課題に感じている点(複数回答)」は「男性中心のコミュニケーションや組織風土」が39.6%と、管理職に就いたことによるプライベートへの影響と、男性優位の既存の職場環境の弊害があったことが見てとれます。

女性管理職の理想と現実

こうした女性管理職としての経験をふまえ、「女性管理職を増やすために有効だと考えること(複数回答)」という質問については「柔軟な働き方の実現(フレックスタイム・リモートワークなど)」が67.3%、「『家事・育児は女性がするもの』といった社会の性役割意識がなくなる(緩和する)こと」が48.1%、「子育て・介護などのライフと仕事の両立支援(育児・介護休業、時短勤務など)」が47.3%という結果に。

働き方改革のさらなる促進に加え、女性ならではのライフイベントと両立できるかが、女性管理職の増加につながるとの意見が多く見られました。

株式会社Waris

フリーコメントでは、管理職を目指す女性へのアドバイスとして「私は課長時代が一番つらかったですが、部長、本部長、執行役員とあがっていくにつれて、どんどん自分の自由に部門運営ができ、自由な時間が増えていきました。上にあがれば、全然違う景色が見えます。なるべく課長時代を短く、どんどん上にあがっていって、理想の働く環境を作ってください。(50代/代表取締役〈経験者含む〉)」というポジティブなメッセージも。

一方で、“女性×働く”に関しては「仕事でチャンスがあっても、旦那の会社では調整できないという状況があり、結局妻側が調整するしかありません。もっと女性が社会進出するには、男性側の会社からの理解が必要。(30代/部長〈過去経験者含む〉)」という意見が寄せられるなど、女性管理職を取り巻く現状についても浮き彫りとなりました。

女性管理職
Adobe Stock / naka

支援体制の強化が不可欠

今回の調査結果に対し、Warisで共同代表を務める田中美和さんは次のように話しています。

「女性たちの多様な働き方や生き方を応援する事業を10年以上続けてきて、意思決定層に女性がなかなか増えないと感じてきました。世の中に女性リーダーが自然にいる社会になるよう、女性役員や女性管理職と企業とのマッチングをしています。

今回の女性管理職に関する調査では、女性の意識として『管理職なんて』という抵抗感は払拭されつつあることがわかりました。一方、実際に管理職になった女性に話を聞くと、男性中心の社内コミュニケーションやリモートワークができない働き方などが課題だと感じていることもわかりました。

企業は、女性を管理職に抜擢して『あとは自分でがんばってね』と言うだけでなく、働き方のフレキシビリティを充実させるなど、女性リーダーをサポートしていく体制をつくっていく必要があります」

3月8日は国際女性デー

国際女性デーは、世界中で女性の権利について考える日。OTEMOTOでも、さまざまな立場で活躍、奮闘している女性の声を聞いてきました。多様な生き方を選ぶ女性たちを勇気づける言葉や、自分と向き合うヒントが詰まっている記事をお届けします。

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著者
難波寛彦
秋田県出身。玉川大学卒業後、外資系アパレル企業を経てファッション誌のウェブ版の編集に携わる。2018年、ハースト・デジタル・ジャパンに入社。Harper's BAZAAR Japan digital編集部在籍時には、アート・カルチャー、ダイバーシティ、サステナビリティに関する企画を担当する。2023年7月ハリズリー入社。最近の関心ごとは、学校教育、地方創生。
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