「今日は生理の話をします!」助産師シオリーヌさんが、性について子どもと話そうと呼びかける理由
10月11日は「国際ガールズデー」。世界中の女の子の権利を守り、社会的地位の向上を目指すため、国連が定めた記念日です。性教育YouTuberとして活動する助産師のシオリーヌさんが、生理について親子で学ぶイベントに登壇し、「初めて生理がきたら、お祝いしてもいいし、しなくてもいい。つらかったら我慢せず休んでもいい。あなたが無理しない方法を見つけてほしい」と話しました。
世界では、性暴力や望まない妊娠、一部の地域で慣習として続いている女性器切除(FGM)など、女の子たちの身体が危険にさらされるうえに、教育を受ける権利や人生を選択する権利が奪われている実態があります。
「国際ガールズデー」は女の子たちの権利を守るために2012年に国連が制定し、この日に合わせて日本でもさまざまなイベントや発信が行われています。
子どもたちが自分の身体のことを知る機会をつくろうと2023年10月6日、ユニ・チャームが生理用品「ソフィ」の取り組みとして、イベント「おやこの生理学級」を開催しました。
イベントに登壇した助産師のシオリーヌこと大貫詩織さんは、「あなたの身体はあなたのもの。あなたの生理に関することはあなた自身が決めていいんだと伝えたかった」と話します。
「今日は生理の話をします」
イベントには、小学生の女の子とその家族4組が参加しました。
シオリーヌさんは「生理で血が出ることは知っていても、身体の変化やサイクルについては大人でも知らないことが多いです」とコメント。月経のしくみをクイズ形式で学ぶコーナーでは、父親も積極的に手を挙げていました。
子どもたちが初潮を迎えたときにひとりで悩まず大人に気軽に相談できるよう、イベントでは親子で会話をする時間もとられました。
「生理は恥ずかしいことではありません」「不調の感じ方は人それぞれ」「痛みを我慢せず、薬を飲んだり休んだりしていい」「周りの大人に頼りましょう」などのメッセージが子どもたちに繰り返し伝えられました。
シオリーヌさん自身は小学4年生くらいの頃、休日の昼間に母親からリビングに呼ばれ、「今日は生理の話をします!」と明るく切り出された経験があるといいます。
生理がくるとどんな身体の変化が起こるのか。それに対してどんな準備と対応をしたらよいのか。
母親はそんな話を一通りした後、自分がいつも利用している通販サービスで生理用ショーツを購入してくれたそう。そして、そのショーツとナプキン2、3枚、経血のついたショーツを持ち帰るためのビニール袋をかわいらしいポーチにまとめ、ランドセルに入れてくれたといいます。
「そのポーチを持ってトイレに行ってみたくて、早く生理が来ないかなと心待ちにしていました」
性の話をタブー視して避けるのではなく、きちんと知識を得ることが安心につながる。そんな思いでYouTubeなどで発信しているシオリーヌさんの原体験となった出来事だったのです。
「自分を大事に」がわからなかった
「性教育は根本的には人権教育だと思っています」とシオリーヌさん。「学校などで性教育の講演をする際、まず話すのは、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルツ/ライツ(SRHR)についてです」
SRHRは「性と生殖に関する健康と権利」と訳され、自分の性や身体のことを自分で決める権利が確立していること。
「よく『家族を大事にしましょう』『友達を大事にしましょう』と言われますが、『自分を大事にしましょう』とはあまり言われないし、教えてもらうことも少ないです。私たち大人も、自分がこうしたいということより、世間のものさしを優先しなきゃいけないんじゃないかという気持ちにさせられることがたくさんあります」
「私たちには自分のことを自分で決める権利があります。そのためには情報がないと決められません。あなたには学ぶ権利もあるし決める権利もあるのだと、幼いうちから伝えていきたいです」
シオリーヌさんが性教育の講演をしたある学校では、生徒から「自分を大事にするということがどういうことか、これまでよくわからなかった」という声が寄せられたことがありました。
「学校では決められたルールを守らないと叱られるような教育を受けることも多いですが、子どもたちがモヤッとすることやおかしいんじゃないかと思ったことを、『どうせ大人に言っても無駄だ』と思わせてしまっている面はないでしょうか」
「子どもが自由に意見やイエス・ノーを言い、大人はそれを対等な人間として受け止めることで、子どもたちが『自分の言葉には価値がある』と思えるようにしていきたいです」
※2023年10月6日にあったイベントと個別インタビューを元に構成しました。