就活生の約9割が「配属ガチャ」にモヤモヤ。Z世代への調査から読み解く、早期離職を防ぐために必要なこと

難波寛彦

連休明け初日、退職代行サービスに100件を超える依頼が殺到したという投稿が話題となりました。退職の理由は人によりさまざまですが、新社会人にとっては「配属ガチャ」などの不安が引き金になるケースも。電通が発表した「Z世代就活生 まるわかり調査2024」からわかったのは、就職前と就職後それぞれに対する就活生たちの複雑な思いでした。

長い休み明けは心身の変化が起こりやすく、いわゆる「五月病」にも注意したい時期です。

GW最終日の2024年5月6日、退職代行サービス「モームリ」公式SNSのとある投稿が話題になりました。なんと、GW明け初日となる5月7日の依頼予約が前日午後の時点で114件と、1日で100件以上も依頼があったというのです。翌日の5月7日には、1日で過去最高となる174名の依頼対応を行ったと投稿しています。

退職代行サービスは、退職の意思を本人に代わり勤務先へ伝えてくれるというもの。退職したい本人が勤務先の人と直接やり取りをせずに手続きを進めることができるため、若年層を中心に近年注目されているサービスです。退職に至るまでの理由はさまざまですが、なかには新社会人ならではの悩みと不安が引き金になるというケースもあるようです。

インターネットテレビ局ABEMAが放送した『ABEMA的ニュースショー』には、入社1日目で退職代行サービスを利用したという男性が登場。配属ガチャ(配属先がどこになるかわからないこと)の不安も、退職を決めた理由のひとつだと話していました。

就活生
Adobe Stock / buritora

Z世代就活生が重視するもの

就職前と就職後のモチベーションのギャップは、どのようにして生まれてしまうのでしょうか。そのヒントとなりそうな調査結果が、電通が発表した「Z世代就活生 まるわかり調査2024」です。

2022年の第1回に続く第2回の調査となる今回は、2024年卒または2025年卒業予定の全国の大学生・大学院生818人を対象に調査を実施。対象者の中心は、いわゆるZ世代の若者たちです。調査結果から、就職活動の段階で就活生たちがどのようなことを重視し、どのようなことを懸念しているかが明らかとなっています。

調査結果によると、88.8%が「入社後の勤務地・エリアを確約してほしい」と回答。多くの就活生が、勤務地・エリアの事前確約を希望していることがわかります。また、87.3%が「入社後の職種・配属先を確約してほしい」と回答し、就職後の働き方にも大きな影響を及ぼす職種や配属先についても、事前の確約を望んでいることがわかりました。このことから就活生が「配属ガチャ」に就職前から不安を感じているという傾向が見られます。

Z世代就活生 まるわかり調査2024
出典:「Z世代就活生 まるわかり調査2024」

職場での交流には前向き

一方で、意外な結果となったのが働き方についての捉え方。就活生の66.3%が「出社中心」の働き方を希望しており、コロナ禍を経て社会全体ではリモートワークが定着しているものの、対面でコミュニケーションできる出社スタイルを望んでいる就活生も多くいることが明らかとなっています。

さらに、入社後の教育・研修などについては、78.2%が「ある程度拘束されても、手取り足取り教えてほしい」と回答。「ある程度放置されても、裁量権を与えてほしい」と回答した就活生は21.7%にとどまるなど、最初から干渉されず自由にさせてもらうよりも、細やかな研修や教育機会を希望しているようです。

Z世代就活生 まるわかり調査2024
出典:「Z世代就活生 まるわかり調査2024」

現在の新社会人にあたるのは、コロナ禍によってさまざまな場面で活動の制限を強いられてきた世代。厚生労働省が2023年10月に発表した2020年3月卒の新規学卒就職者の離職状況によると、就職後3年以内の離職率は32.3%。全体の約3割超という高い数値になっています。

著者
難波寛彦
大学卒業後、新卒で外資系アパレル企業に入社。2016年に入社した編集プロダクションで、ファッション誌のウェブ版の編集に携わる。2018年にハースト・デジタル・ジャパン入社し、Harper's BAZAAR Japan digital編集部在籍時には、アート・カルチャー、ダイバーシティ、サステナビリティに関する企画などを担当。2023年7月ハリズリー入社。最近の関心ごとは、学校教育、地方創生。
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