「隠す」から「活かす」へ。フェイスポジティブがもたらす新たなメイク需要
日本でも徐々に浸透しつつある「ボディポジティブ」。自分の身体的特徴を前向きに受け入れようという、欧米発のムーブメントです。一方、「ボディポジティブ」と同様に生まれもった自分の“顔”の特徴を活かそうという「フェイスポジティブ」が、メイクの面で日本女性たちの間で支持されていることが、資生堂の調査から分かりました。
資生堂ジャパンが2022年6月、15~69 歳の女性2500人を対象に「自己認識と美に対する意識調査」と題して実施した調査によると、「自分の特徴を活かしたメイクをしたい」と回答した人は半数以上の62.9%。顔のコンプレックスを「隠す(修正する)」メイクをしたいと回答した人は 17.8%に留まるなど、メイクに対してポジティブに意識が変化していることが分かりました。
また、「自分らしい」と思える美しさがどういう状態であると考えるかという質問(複数回答)について、「自分が似合うと思えること(51.1%)」、「自分が納得していること(45.8%)」、「心が満たされていること(35.8%)」といった項目が上位となり、他者からの評価よりも自身の満足度を重視する傾向が見てとれます。
自分らしさが「迷子」?
一方で、「自分らしい」と思える美しさが実現できているかという質問(複数回答)には、同じ上位3項目でも「自分が似合うと思えること(25.8%)」、「自分が納得していること(23.6%)」、「心が満たされていること(12.3%)」と、実際に自分らしさを実現できていると考える割合は 3分の1以下となる結果に。
こうした「理想と現実のギャップ」には、どのような背景があるのでしょうか?
続く「自分らしくいること」へのバリア要因に関する質問では、「自分の魅力がよくわからない(37.9%)」、「自分の特徴が分からない(21.8%)」といった項目が上位となり、自身の魅力や特徴を理解しきれていない人もいることが浮き彫りに。
さらに「自分らしい」と思うメイクを「はっきりイメージしている」と答えた人は全体のわずか6.6%。
対して、「イメージできない(13.2%)」「あまりイメージできない(33.9%)」と回答した人はおよそ2人に1人(47.1%)と、半数近くが「自分らしい」メイクのイメージをつかめていない“メイク迷子”の状態であるといいます。
自分らしさは心地よさに
実際にメイクを施しての心理実験では、「コンプレックスを隠す・修正するメイク」と「使用者の魅力が際立つメイク」の2つのメイクを、普段コンプレックスを隠すメイクをしているという女性に実施。
それぞれの感想を聞いたところ、「心地よさ」、「自分らしさ」、「好み」の3評価で、「コンプレックスを隠す・修正するメイク」よりも「使用者の魅力が際立つメイク」の方がいずれも高い結果となっています。
「活かす」メイクへ
これまでは、「カバー力」などコンプレックスを「隠す」ことが重視されてきたメイク。しかし、今後は自分の個性を「活かす」メイクの需要が高まっていくのかもしれません。