平日の学校行事に出席するのは母親?父親? 授業参観や面談に保護者が参加しやすい工夫とは

小林明子

授業参観、保護者会、個人面談......平日の日中に組まれている学校行事。月に何度も仕事を休まなければならないこともありますが、共働き夫婦はどのように調整しているのでしょう。

夏休みが近づくにつれ、授業参観や保護者会、個人面談など学校行事が目白押し。最近は土曜日に授業参観を開催する学校も増えてはいるものの、平日に行事が組まれることも少なくありません。

わが子の成長や学校での様子を見ることができる機会ですが、そのつど仕事を休んだり調整したりする大変さも。こどもが小学校に入学した後に仕事と子育ての両立が難しくなる「小1の壁」の一つとなっています。

共働き夫婦の場合、平日の学校行事の出席はどのように役割分担しているのでしょうか。OTEMOTO編集部がアンケートで聞いたところ、「平日に参加するのは基本的に母親」という声が少なくありませんでした。

暗黙の了解で母親

「基本的に母。どうしても仕事で休めないときは父親に行ってもらう」(40代母親 / 1年生女子 / 静岡県)

母親は必ず行き、父親は休みが取れたら行く」(母親 / 3年生男子 / 埼玉県)

「学校のことはほぼ母ひとり」(40代母親 / 5年生男子 / 東京都)

どちらかが行くという選択肢があることに驚くぐらい、暗黙の了解で母が参加ですw」(40代母親 / 1年生男子 / 東京都)

「基本的には母親が参加、母親のスケジュールが合わない場合は父親が参加。学校関係や家事は母親がデフォルトになってしまっている……父親がデフォルトなのは各種手続きなど」(40代母親 / 4年生女子 / 奈良県)

「学校行事は、母親が主。学校関係は妻、家事は自分が担当しています」(40代父親 / 5年生女子 / 東京都)

「面談は暗黙の決まりみたいに母親の役目。参観は子どもが双子なので両親そろっての参加と考えています」(40代母親 / 1年生双子 / 東京都)

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ひとり親や、パートナーの仕事の都合で、分担するという選択肢がないという声もありました。

「シングルマザーなのですべて私が行きます。可能な限りリモートワークや有休を使います。長男のときは長時間労働で日中の行事は行けないことがほとんどでした」(40代母親 / 4年生男子 / 神奈川県)

「ほぼ父親。妻が教員のため、ほぼすべての行事が生徒のものと被ってしまうから」(30代父親 / 1年生男子 / 神奈川県)

保護者会でこどもは留守番


共働き世帯が約7割となっている今、学校行事は保護者が参加しやすい日時に設定されているのでしょうか。

「共働きの家庭をまったく想定していない時間設定で頭にきます。また、保護者会はこどもが家に帰ってくる時間とほぼ同時に始まるのでいつも遅刻しています。こどもが留守番することが前提なのもおかしいのでは」(40代母親 / 4年生男子 / 東京都)

「小学校の参観が4月にあり、5月は日曜参観、6月の終わりから7月初めにはプールの参観があって……3カ月連続の参観です。行事は月初にあることが多く、仕事を休むのに気を使いますし、自分も休むと次の日が大変。月末月初は、忙しい人が多いと思うんだけどなぁ」(40代母親 / 4年生女子 / 大阪府)

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こうした声を受け、工夫をしている学校もあります。土日が休みではない保護者にも配慮し、複数の日程で対応していることも。

授業参観は1週間ほど行っているため、土曜登校日に参加することができています」(30代母親 / 中学1年女子 / 東京都)

学校公開は土曜を含む複数日開催、保護者が観覧可能な全校行事は土曜開催と参加しやすい配慮がされています。保護者会や個人面談は平日昼間のみです」(40代母親 / 3年生男子 / 東京都)

授業参観はオンラインでも対応してくれるので、仕事が忙しいときは見たい授業だけはオフラインで見て、オンラインに切り替えることもあります」(40代母親 / 4年生女子 / 神奈川県)

「運動会以外は平日午後の実施のものがほとんどですが、先生の働き方も考えるとこれでよいと思っている」(50代母親 / 6年生女子 / 神奈川県)

保護者も先生も忙しい

文部科学省の教員勤務実態調査によると、2022年度における小学校教員の平日1日あたりの在校時間は平均10時間45分。依然として長時間労働ではあるものの、前回調査の2016年度より30分短くなり、このうち学校行事にかける時間が11分減っていました。在校時間が長い教員ほど学校行事に関する業務に時間をかけている傾向もあり、学校行事のあり方は教員の働き方の課題でもあることがわかりました。

一方、企業の働き方改革も進んでいます。フレックスタイム制やリモートワークを導入して時間単位で休めるようにしている企業のほか、厚生労働省によると、こどもの学校行事に参加するための特別休暇制度を設けている企業もあります。

「シングルマザーできょうだいがいるので、授業参観や運動会が学年によって違う日に設定されている場合、連日仕事を抜けて学校へ行かなければいけない。負担はあるけれど、中抜けしやすい職場なので助かっています」(40代母親 / 1年生女子 / 千葉県)

「以前は調整がつかず欠席したこともあるが、テレワークになって参加しやすくなりました」(40代母親 / 2年生女子 / 東京都)

夫婦両方が参加したい

柔軟な働き方や学校の配慮のおかげで、夫婦でこどもの成長を見守ることができるようになったという声も寄せられました。

「平日は行けるほうが参加しています。土曜日の公開授業などは、夫婦で参加しています」(30代母親 / 2年生女子 / 東京都)

「仕事の都合を見ながら交互に参加しています」(40代母親 / 4年生女子 / 神奈川県)

「学期ごとに参観日、懇談があり、夫婦ともに1回ずつ参加しました」(30代母親 / 2年生女子 / 大阪府)

個人面談は夫婦で参加します」(40代母親 / 3年生女子 / 東京都)

「家庭訪問は男性の教師だったため、夫が毎年対応。旗振り当番は夫と半分ずつ対応。学校に赴く場合は妻が担当しています」(40代母親 / 3年生女子 / 神奈川県)

「幼稚園のときに2人で参加できないことが多かったので、小学校の参観はなるべく夫婦で行くようにしています」(40代母親 / 2年生男子 / 埼玉県)

「兄弟で複数日程調整が必要なことも多いため、夫婦で行ける日を調整して参加している。両方が参加したいときは、2人とも行くこともある」(50代母親 / 6年生女子 / 神奈川県)

「初めて夫に個人面談に行ってもらったら、先生との会話が弾んだようで楽しかったそうです。直接問題点を聞けたためか、積極的に改善策を考えてこどもに提案してくれました。いままで私からの報告だけだったのでどこか他人事になっていたようですが、今回を機に父親も参加する意義はあると感じました」(30代母親 / 中学1年女子 / 東京都)

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著者
小林明子
OTEMOTO創刊編集長 / 元BuzzFeed Japan編集長。新聞、週刊誌の記者を経て、BuzzFeedでダイバーシティやサステナビリティの特集を実施。社会課題とビジネスの接点に関心をもち、2022年4月ハリズリー入社。子育て、教育、ジェンダーを主に取材。
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