実家の"かくれ資産"は平成レトログッズ? 「ウチの実家」で考える不用品の可能性

難波寛彦

フリマアプリのメルカリが、2023年12月3日までの期間限定で東京・原宿にオープンした没入型施設「ウチの実家」本当に実家にありそうな500点以上のアイテムで構成された施設では、日本の家庭に眠る"かくれ資産"の可能性が実感できます。年末年始の帰省シーズンを前に、実感に溢れる不用品について考えてみませんか。

今年もあっという間に12月に入り、年末年始の帰省シーズンの到来。お正月は、久しぶりにゆっくりと実家で過ごす予定という方も多いと思います。

しかし、いざ帰省するとなるとどうしても気になってしまうのは、ものが溢れる実家の現状。なかには、「自室は学生時代のままにしてしまっている」という方もいるのではないでしょうか。実際に、筆者も帰省のたびに両親から部屋の片付けをするように言われています。

写真提供:メルカリ

とはいえ、幼少期から部屋に置いているものやゲームにおもちゃ、学生時代の愛用品など、その種類もさまざま。今後使う可能性はほとんどないと言っていいものばかりですが、分別してゴミに出すだけでも一苦労。ましてや、捨てるだけでお金がかかるものも数多くあります。

実家にも眠るかくれ資産

フリマアプリのメルカリは、こうした不用品に関して「1年以上使用しておらず、理由なく家庭に保管しているモノを不要品とし、不要品保管数量調査および『メルカリ』の平均取引価格により不要品を金額換算した数値」を"かくれ資産"と定義。

2023年11月に同社が発表した「2023年版 日本の家庭に眠る"かくれ資産"調査」では、日本の家庭に眠る"かくれ資産"の総額は推計約66兆6772億円で、国民1人あたりの"かくれ資産"は平均約53万円という結果に。そのうちの6割を、服飾雑貨や書籍・CD・ゲームなどが占めていたといいます。

また、約5割の人が実家に不要品があると認知している一方で、年末の大掃除のシーズンに捨てられる可能性のある不要品は国民1人あたり約8.5万円ということも明らかになっています。

Hirohiko Namba / OTEMOTO

そんな現状に目を向けてもらおうと、メルカリが2023年12月3日までの期間限定で東京・原宿に「ウチの実家」と題した没入型施設をオープン。本当に実家にありそうな2000点以上のアイテムで構成された、”疑似実家”を体験できる施設です。

実際に足を踏み入れてみると、思わず「ただいま」と口にしてしまいそうなどこか懐かしい空間が広がります。床の間や台所ではお父さんとお母さん役の男性と女性が温かく出迎えてくれ、気分はさながら帰省中です。

Hirohiko Namba / OTEMOTO

ふと視線を下に落とすと、テーブルに置かれていたのは、遊んだまま放置していたかのようなゲームボーイとソフト。チラシで作ったゴミ箱に入れられたお菓子の空袋という”あるある”感も郷愁を誘います。

ちなみに、「ウチの実家」は、地方都市に暮らす父親と母親、2003年前後に実家を出た兄妹の家をイメージしているのだそう。

必要とする誰かへ

「あんたたちの部屋もそのままにしてあるよ」とお母さんに声をかけられ2階へ上がると、そこにあるのは兄と妹のこども部屋。

どこか既視感がある、ものがごちゃごちゃと散乱した部屋に"エモさ"を感じずにはいられません。

写真提供:メルカリ

兄の部屋の机に置かれているウォークマンやMacBook、妹の部屋で光り輝くデコ携帯、流れている音楽は浜崎あゆみ…。それもそのはず、兄は40歳、そして妹は34歳という設定なのです。

部屋にあるものも1995年〜2005年ごろに流行したアイテムが中心のため、同世代の方であればどれも懐かしく感じられるはず。

Hirohiko Namba / OTEMOTO

このほか、「ウチの実家」には手元で水中輪投げが楽しめるウォーターゲームや、音に反応して踊り出すフラワーロックなど、誰しも人生で一度は見たことのある懐かしいアイテムも多数。

担当者によると、昨今の「平成レトロ」ブームの影響もあり、ご紹介したレトログッズの数々が実際にメルカリで売られている例も多いのだといいます。

Hirohiko Namba / OTEMOTO

どんなに古いものでも、いざ捨ててしまうとなるとどこか罪悪感を感じてしまうもの。ですが、もしそれを必要としている人がいるとしたら…? フリマアプリの活用は、実家の片付け問題に悩む私たちにとっての救世主となるかもしれません。

著者
難波寛彦
大学卒業後、新卒で外資系アパレル企業に入社。2016年に入社した編集プロダクションで、ファッション誌のウェブ版の編集に携わる。2018年にハースト・デジタル・ジャパン入社し、Harper's BAZAAR Japan digital編集部在籍時には、アート・カルチャー、ダイバーシティ、サステナビリティに関する企画などを担当。2023年7月ハリズリー入社。最近の関心ごとは、学校教育、地方創生。
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