小学校の宿題だけでいいの? 塾か通信教育か、家庭学習の選び方と気になる金額。塾費用は平均21万円

永野原 梨香

新学期は、学校生活で心配なことが増えたり、さまざまな家庭の子育てに触れる機会が訪れたりする時期。小学生の子育てには、乳幼児期とはまた違った悩みが生まれます。OTEMOTOでは、親子サポートプロジェクト「6歳からのneuvola(ネウボラ)」をスタート。こどもが小学1年生になる保護者が悩みがちなテーマについて、"先輩"や"同期"にあたる保護者たちのリアルな声を紹介していきます。

ひとつの正解はないけれど、みんながどう対処しているのかを知ることで、「うちの子には何が合うのか」を考えるヒントになりますように。今回は「家庭学習」について考えます。

※ ネウボラ = フィンランド語で「アドバイスの場」という意味。妊娠期から子育て期まで切れ目のないサポートを提供する自治体が日本でも増えています。

特集neuvolaバナー
アンケートは引き続き募集中です
OTEMOTO

小学校に入学したら、宿題はどのくらい出されるのだろうか。わが子はちゃんと取り組めるのだろうか。

そんな不安に拍車をかけるように、中学受験が激化している都市部では、低学年のうちから塾や通信教材などの情報も耳に入ってきます。

「家庭学習、どうしますか?」。OTEMOTO編集部がアンケートで質問したところ、「学校の宿題のみ」、「通信教育」、「塾」に大きく分かれました。

学習の方法は違っても、「勉強の習慣をつけてもらいたい」、「学校の勉強に遅れてほしくない」との思いは、どの家庭も同じのようです。

こどもの勉強を見る難しさ

「基本的には宿題だけ」、「宿題と通信教育」という声とともに、必要に応じて塾での勉強を検討するという声もありました。家庭学習ならではの、「親が勉強を見る」ということへの難しさも寄せられました。

「学校の宿題のみ」(50代母親 / 2年生男子 / 東京都) 

「スマイルゼミをやっています」(30代母親 / 2年生女子 / 東京都)        

「進研ゼミのみ。土曜日の午前など暇な時間にしている。あまり低学年から勉強させるつもりはない」(40代母親 / 2年生女子 / 東京都)

「タブレットを使用する通信教育に入会しているが、学校の宿題で手一杯でほとんどすることがないので解約予定。今のところ勉強に苦手意識はないので、塾は3年生以降で検討する」(30代母親 / 2年生女子 / 大阪府)

学校の宿題では学力の程度がはかれないことと、共働きのためつきっきりで課題の管理をするのは難しいという理由で、1年生の夏休みから通信教育を始めた。本人の興味関心を考えて、タブレット学習を選択」(50代母親 / 6年生女子 / 神奈川県)

家庭学習
写真はイメージです
Adobe Stock /  Morumotto

中学受験のため塾へ

塾に通わせているという人も多く、その理由として「先生に教えてもらえる」「苦手科目の強化になる」というメリットが挙げられました。

「3年生までは通信教育で自宅学習の習慣をつくった。友達からプラスの影響を受けることがわかったことと、苦手科目をプロに教えてもらいたいと思ったことから、4年生から通塾することに」(40代母親 / 4年生男子 / 東京都)

「0歳から『こどもちゃれんじ』を受講しているが、小学生になった頃からしなくなった。小学校受験の際は塾に通ったので、中学受験に向けてそろそろ塾に行かないといけないと思っている」(40代母親 / 4年生女子 / 奈良県)

塾の宿題に親子で取り組むのが家庭学習の軸になっている」(40代父親 / 3年生男子 / 東京都)

「4年生から塾に通っています。こどもチャレンジを受講した時期もありましたが、好きな知育玩具のほうが割がいいと思い、やめました」(40代母親 / 6年生女子 / 東京都)           

悩んで決められない

一方で、自宅での学習か塾か、どちらがいいか、決められないという人も。

「スマイルゼミを悩んでいる」(40代母親 / 2年生女子 / 埼玉県)         

「授業だけでは学習内容が身についているように見えず、プラスアルファの学習が必要と感じている。いきなり塾に通わせるか、知人に家庭教師をお願いするかで悩んでいます。学校公開で授業を見ていると、教員はPCと併用しながら教えることに必死で児童一人ひとりがちゃんとついていけているかまで手が回っておらず、できる子とそうでない子の差が激しい」(40代母親 / 3年生男子 / 東京都)

「家での時間を持て余すなら通信教育の教材をやらせたいが、どこかのタイミングで塾に変えるのであれば、早いうちから塾のほうがいいのかな……?」(40代母親 / 1年生女子 / 千葉県)

時間もお金もかかる

親にとっては時間と金銭面への負担も、悩みの種になっているようです。

「通信教育は親が見ないとならないので、塾かオンライン塾を検討」(30代母親 / 1年生男子 / 千葉県)

「娘の宿題をマル付けするので精一杯。オンライン塾も検討したが自分が今年いっぱいはサポートできなさそうなので、基本は学校の予復習が中心。夏休みや冬休みにスポットで塾を併用」(40代母親 / 4年生女子 / 神奈川県)

「公文も考えましたが、これ以上習い事に連れて行くのは時間的にも体力的にも無理! 金額の問題もあります。通信教育は年間で比べると安いし、ゲームのようなものもあって楽しいようですが、ちゃんとやらせないと無駄になる。これ以上、宿題にまで振り回されるのは、私にもこどもにも心の限界がくると思って、今のところは通信教育です」(40代母親 / 4年生女子 / 大阪府)

塾にいくら払う?

ソニー生命保険が2024年、大学生以下のこどもがいる20歳以上の男女1000人を対象に行ったアンケート「子どもの教育資金に関する調査2024」では、「子どもの教育費の負担を重いと感じる」との問いに、「非常にあてはまる」「ややあてはまる」と回答した人は67.4%。こどもが小学生の親では57.2%が、教育費の負担が重いと回答しました。

出典:子どもの教育資金に関する調査2024
ソニー生命調べ

また、全体の約8割が教育資金に不安を感じており、その大きな理由としては、「物価の上昇」「教育資金がどのくらい必要となるか分からない」などがあげられています。

実際にはいくらのお金がかかるのでしょうか。

文部科学省の2021年度「子供の学習費調査」によると、小学生で「通信教育・家庭教師費」を支出した人の年間平均額は、公立約5万5000円、私立約10万円。一方で「0円」という人も公立58.1%、私立47.3%いました。

また、「学習塾費」を支出した人の年間平均額は公立約20万8000円、私立約37万5000円でした。「0円」の人は公立61.1%、私立27.0%でした。

家庭に合った学習方法について、新学年になったこのタイミングで、親子で話し合うのもいいのかもしれません。

特集neuvolaバナー
OTEMOTO

親子サポートプロジェクト「6歳からのneuvola」では、家庭学習のほか、保護者の働き方、PTA、おこづかい、ゲーム、勉強場所などのテーマを順次、取り上げています。アンケートは引き続き募集していますので、ご意見やご経験をお寄せください。

また、課題解決をともに考え、親子をサポートする企業や団体を募集しています。詳しくはこちら(contact@o-temoto.com)からお問い合わせください。

著者
永野原 梨香
ライター。週刊誌で主に経済記事を担当。出産し上海勤務に帯同した後、フリーライターに。関心ごとは暮らしに沿った経済の動き、SDGs、各国の文化や食。
SHARE