体重が同級生に丸見え、なぜ? 大人たちが訴える「学校のここが嫌だった」
「体重測定でみんなに体重を見られた」「ブルマで毛深いことをからかわれた」「給食を掃除の時間まで食べさせられた」。学校生活の中で、本当は嫌だったのに...という出来事やルール、ありませんか。
2022年8月10日に公開した記事 上半身裸の騎馬戦という「地獄」に苦しんだ僕は、教師になった の冒頭で、1977年生まれの星野俊樹さんが小学校時代、男子だけが騎馬戦や組体操に上半身裸で取り組むのが嫌だったのに、大人に訴えることができなかった経験を語っています。
この記事に多くの反響があったことから、子どものころに学校で嫌だったのに嫌だと言えなかったことについてOTEMOTO編集部がアンケートで聞いたところ、30代、40代を中心にコメントが寄せられました(アンケートは現在も募集中です)。
ブラック校則は見直しの方向へ
2018年ごろから「ブラック校則」が注目されるようになり、2022年8月、文部科学省の有識者会議は校則を学校のホームページで公開するよう求めました。
制服の選択肢を多様にし、ジェンダーレス制服や水着を導入する学校も増えています。理不尽な指導については学校の中から指摘する声も上がっています。
寄せられた経験と同じことがいまの学校で起きているとは限りませんが、一部にまだ残っている慣習があるのも事実です。
大人が子どもだった当時は表に出なかった声の数々。これからの子どもたちが過ごしやすい学校づくりにつながるよう、一部を紹介します。
体育・運動会
「ブルマ本当に嫌だった。毛深いことをからかわれるのがつらくて、運動は好きだったのに、体育は嫌いだった」(40代女性)
「体育のときの着替えに更衣室がほしかった」(30代女性)
「海外の現地校に通っていたとき、体育で身体を動かす楽しさを知った。日本の学校の体育は運動神経が悪いとできない内容が多い。倒立前転や逆上がりなど、恐怖を感じて努力をしてもできないため、苦痛や劣等感で体育が嫌いになった」(40代女性)
学校生活
「給食を掃除の時間まで食べさせられるのが、衛生的にも嫌だった」(40代女性)
「エアコンをつけてほしかった。小学校の低学年でも男女別に着替えさせてほしかった。置き勉をさせてほしかった。ランドセル以外のかばんも許可してほしかった」(20代女性)
「小学校の健康診断の体重測定のとき、一人ずつ体重計に乗るのですが、自分の番ではないとき体重計に向かって体育座りで待機だったため、体重が他の子たちに丸見えでした。私は太っていたこともあって、この時間がとても嫌でした。なぜわざわざ丸見えな状態でやっていたのか、大人になって考えると理解できません。いくら子どもでもプライバシーに配慮してほしかった」(30代女性)
「学校には多様な子がいて貧困に苦しむ子もいるのに、募金の催促や強制をしないでほしかった」(20代男性)
授業
「異性間の結婚やお付き合いが『普通』だという前提で授業や話が進んでいた気がする。自分はゲイで、普通ではない=異常だという認識が自分の中に根強く、今も払拭できないでいる」(30代男性)
「問題を早く解き終わったとき、先生に『次のページの問題を解いていいですか?』と聞いたら、『そこはみんなでやるからだめ』『図書館で借りた本を読んでいていいですか?』と聞いたら『授業に関係ないものはだめ』『おしゃべりすると他の人の邪魔になるからだめ』。どうしろと...」(40代女性)
服装・髪型
「男女で分けられた制服。小学生ではズボンで過ごしてきたのに、中学校では女子はスカートと決まっていた」(50代女性)
「女子がズボンをはいてもいい、男子がスカートをはいてもいいようにしたかった」(10代以下)
「制服、髪型が指定されていた。校則が比較的自由な私立校やインターは偏差値や学費が高く、管理的な学校しか選択肢がなかった」(40代女性)
「髪の毛の色や目の色がちょっと茶色いというだけで差別されてつらかった」(50代女性)
「制服を中途半端に自由にしないでほしかった。余白があることでヒエラルキーが生まれた」(30代女性)
部活
「中学校の時、全員が必ず部活動に所属しなければならない決まりがあった。最初に入った部活で1年の夏に人間関係を壊してしまい、部活に通えなくなった。どうにか部活に復帰させたい先生たちの話を聞くほど戻れないと思うようになり、そのうち教室に行くのも億劫になり、保健室登校するまでになってしまった。『部活をやるのが偉い』みたいな価値観って今となってはどうでもよかったなと思います」(30代女性)
「私の高校は野球部の応援が強制だった。会場に行くのも自費で、時間とお金を無駄にさせられた。ちなみに野球部員が他の部活に応援にくることはない。やりたくない人に強制させるのはおかしい」(20代男性)
窮屈にさせるのが目的ではないはず
学生時代から嫌だと自覚していたが声を上げられなかったという人もいれば、今になって理不尽だったと気づいたことがあるという意見もありました。
時間を巻き戻すことはできませんが、これからの子どもたちに同じような思いをさせないためには、どうすればいいのでしょうか。
「厳しいことは良いことだという雰囲気を変える。例えば、安全のために指導することは大切ですが、厳しくすることが目的になると本質が分からなくなる。ただ窮屈な思いをさせているだけの意味のない罰など、形骸化していることはないか見直す」(20代女性)
「生徒を信じることだと思います。10代は締め付けないとダメだとか、学校は集団の規律を学ぶ場だという考え方から脱さないと、学校の閉塞感はなくなりません。私の出身中学は1学年2クラス78人の小規模校でした。これくらいの規模だと先生も生徒のことを集団としてではなく一人ひとりの人間として見られるのでは。そのために教育に投資をしてほしいです!」(30代女性)
「毎年、いや毎月、子どもや保護者が変えてほしいことを学校に伝えられる環境づくり」(40代女性)
「『規則だから』と強制力を持たせるのではなく、『なぜこの規則が必要なのか』の理由を共有することで説得力を持たせることが必要なのかもしれません。子どもも大人も納得するまで話す努力をすることはとても大切だと思います」(40代男性)
「何のための校則なのか、何を目的とした教育なのかを見直すこと。生徒を集団の一部としてとらえるのではなく、個人が自立、自律して心身ともに健康的に生きる力をつけるために必要なスキルを身につけるという観点から、不必要な指導をやめることから始めてほしい」(40代女性)
「子どもはひとりの尊厳ある人間であり、プライバシーには最大限配慮する必要があるという『基本の基本』に立ち返ること」(30代女性)
こうした声の広がりによって生まれる学校改革について、OTEMOTO編集部では取材を続けていきます。
アンケートも引き続き募集中です。「性教育」「PTA」「内申点」についていただいたご意見はこの記事では紹介しきれなかったため、改めて取り上げていく予定です。ぜひご経験やご意見をお寄せください。
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