20代男性回答者の6割が「仕事を中断してでも育児に専念したい」妻のキャリアを尊重する令和の父親像
「父の日」を前に、共働き子育て世代向けの転職サービスを運営する企業が男性を対象に調査を実施。「仕事と育児の理想のバランス」を尋ねたところ、「仕事を一時中断してでも育児に専念したい」という令和の父親たちの本音が浮かび上がりました。
ワーキングペアレンツ向けの転職サービス「withwork」を運営するXTalentは2025年5月、「理想の父親像」について20〜60代の男性264人にアンケートを実施しました。
7割が「両立するのが理想」
仕事と育児の理想的なバランスについて聞いたところ、「可能なら仕事を一時中断してでも子育てに専念したい」が21.6%、「仕事と育児を両立したい」が69.7%と回答しました。「仕事に集中し、家庭のことはできる範囲で」と回答した人は3.4%でした。

理想のバランスは年代によっても差があり、30代〜50代は両立を重視する人が約7割。20代は「可能なら仕事を一時中断してでも子育てに専念したい」が66.7%、「仕事と育児を両立したい」が33.3%と、子育てを重視する傾向が強いことがわかりました。

就活の時点で両立を意識
厚生労働省イクメンプロジェクトが2024年6月に実施した「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」でも、18〜25歳の男性3116人の回答者のうち76.8%が、新卒で入社する会社を選ぶ際に、「将来の仕事(キャリア)とプライベートの両立を意識している」と回答していました。

同調査では、男性の84.3%が「育児休業を取得したい」とも回答。育休期間については、29.2%が「半年以上」を希望、25.3%が「1カ月〜3カ月」、24.4%が「3カ月〜半年」を希望しています。

もっと育児に関わりたいという意向や理想がある一方で、XTalentの調査では、約3割が「理想のバランスを実現できていない」と回答しています。

実現を妨げている要因は、「仕事が忙しく時間が取れない」が71.7%でダントツの1位。職場で常態化している長時間労働や過剰な業務量など、仕事の拘束時間が長いことがその背景にあげられました。

転職の理由にもなる
XTalentの調査の場合、両立しやすい環境を求めて転職や部署異動を検討したり実行したりしたという人は、回答者の6割にのぼりました。特にニーズがあるのが「柔軟な働き方ができる」(76%)ことで、約9割がリモート勤務ができる働き方を希望しています。

調査に協力したNPO法人ファザーリング・ジャパン副代表理事の高祖常子さんは、「父親の働き方を変えるため、企業が体制や環境を整える必要がある」とコメントしています。
「仕事と子育てのバランスの実現を妨げている要因の1位が長時間労働という結果はもっともです。ファザーリング・ジャパンでは『パパの働き方改革はボーリングの一番ピン』だと言っています。ここが変われば女性も働きやすくなり、家族の時間が増えて子ども虐待も減るはずです。出産予定日や子どもの成長などのライフイベントはあらかじめわかりますから、職場の体制の準備を進め、働きやすい職場づくりを広めてほしいです」
「withwork」は2019年、時短勤務での転職を希望する子育て中の女性向けのサービスとしてスタートしましたが、2022年から男性ユーザーの登録が急増。運営会社のXTalent代表の上原達也さんによると、現在は登録者の半数近くが男性となっています。
「こどもが生まれて自分の中で優先順位が変わった、妻のキャリアも尊重していきたい、だけど今の職場にはその理解や適した労働環境がない。これは平成の時代にはなかった、まさに令和の価値観なのだと思っています」
