ひとりで留守番、下校中に寄り道。小学1年生に携帯電話を持たせる?スマホデビューの平均は10.6歳

小林明子

新学期は、学校生活で心配なことが増えたり、さまざまな家庭の子育てに触れる機会が訪れたりする時期。小学生の子育てには、乳幼児期とはまた違った悩みが生まれます。OTEMOTOの親子サポートプロジェクト「6歳からのneuvola(ネウボラ)」は、こどもが小学1年生になる保護者が悩みがちなテーマについて、"先輩"や"同期"にあたる保護者たちのリアルな声を紹介していきます。

ひとつの正解はないけれど、みんながどう対処しているのかを知ることで、「うちの子には何が合うのか」を考えるヒントになりますように。今回は「携帯電話」について考えます。

※ ネウボラ = フィンランド語で「アドバイスの場」という意味。妊娠期から子育て期まで切れ目のないサポートを提供する自治体が日本でも増えています。

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小学生の携帯事情

NTTドコモのモバイル社会研究所は2024年1月、小学生の携帯電話の所有状況を調査した結果を発表しました。

この調査は2023年11月、関東1都6県の小中学生と親を対象に実施し、600人が回答。学年別にみると、小学1年生では携帯電話を持っている子が16%であるのに対し、小学6年生では74%と4人に3人が携帯電話を持っていました。

小学校に通うことに慣れ、ひとり歩きをする機会が増えるタイミングで、キッズ携帯やスマートフォンを持ち始めることがわかります。

モバイル社会研究所調査
小中学生のスマホ・キッズケータイ所有率(学年別)
出典 : NTTドコモ モバイル社会研究所

OTEMOTO編集部がアンケートで聞いたところ、小学校の低学年から携帯電話を持たせたという経験談や、持たせるつもりだという声が寄せられました。


「1年生からキッズ携帯を持たせています。GPS機能や、電車の改札の入退場を確認できる機能もあります。最近は友達同士でメールのやりとりを盛んにしているようです」(40代父親 / 4年生女子 / 東京都)

「小学校に電車で通学しているため、送迎時間の連絡や、万が一のトラブルに備えて持たせています。学校指定のキッズ携帯のため、かなり機能が制限されていて安心です」(40代母親 / 3年生女子 / 奈良県)

「小学校のルールで、キッズ携帯なら所持可ということで持たせている。娘が電車通学なので、地震のことも考えるとルールを決めて持たせたい」(40代母親 / 3年生女子 / 神奈川県)

「住んでいる区では、防犯ブザーなどが搭載された携帯を全小学生が持つことが義務付けられています」(40代 / 年長男女双子 / 東京都)

自宅に固定電話がないので、こども1人ずつに携帯電話を持たせてGPSをつけています(30代母親 / 6年生男子 / 長崎県)


各携帯電話キャリアは、こどもの安全に特化したキッズ携帯を販売しており、親と同じキャリアであれば月額数百円から利用できる場合があります。

主なキッズ携帯には通話機能のほか、GPSと防犯ブザーがついています。また、登録した連絡先以外からの受信を拒否できたり、インターネットにつながらなかったりと、危険を防ぐために制限されている機能もあります。

モバイル社会研究所が「キッズケータイを持たせた理由」を聞いたところ、「緊急時の連絡」が71%、「子がいる場所の把握」が47%と、通話やメール、GPSの機能への期待が高いことがわかりました。

モバイル社会研究所調査
小中学生にキッズケータイを持たせた理由(複数回答)
出典 : NTTドコモ モバイル社会研究所

携帯を携帯しない

一方、低学年から携帯電話を持たせるがゆえの悩みもあります。


「小学2年生の夏休みに1人で家から徒歩とバスで民間学童に通うようになったため、キッズ携帯を持たせました。1人で下校・留守番するときは『帰宅したよ』のメッセージを送らせています。ただ、用がなくても頻繁にショートメッセージを送ってくる友達がいるので、メッセージのやりとりにもお金がかかるので節度を持って使うように伝え、親がちょこちょこのぞいています」(40代母親 / 2年生男子 / 東京都)

「学校→塾→公立学童、学校→テニス→自宅、学校→民間学童など、曜日によって行動パターンが異なり行動範囲が広いため、小学1年生のときから携帯を持たせて、GPSで居場所を確認しています。だけど携帯を忘れることが多いため、ランドセルの中にはAirTag(Appleの紛失防止タグ)も入れています」(40代母親 / 4年生女子 / 東京都)

持たせていますが、持っていかないので意味ないですw 時間通りに帰ってくるので問題はないですが」(40代母親 / 2年生女子 / 東京都)

スマホを見る小学生
写真はイメージです
Adobe Stock / tatsushi

10歳でスマホデビュー

学年が上がるにつれ、キッズ携帯よりもスマートフォン派が増えていきます。小学校低学年では18%、高学年では42%がスマホを所有。小学6年生に限ると65%がスマホを持っています。

モバイル社会研究所調査
小中学生のスマホ・キッズケータイ所有率(経年変化)
出典 : NTTドコモ モバイル社会研究所

スマホを持ち始める年齢は、平均10.6歳。男子より女子、他地域よりも東京のほうが、スマホデビューの時期が早い傾向があります。

モバイル社会研究所調査
小中学生のスマホ所有開始年齢(経年変化)
出典 : NTTドコモ モバイル社会研究所

「区からキッズ携帯が貸与されますが、高学年になった周りの友達は、キッズ携帯とは別にスマホを持っている子が増えています。卒業して学校が離れてしまうお友達と連絡を取れるようにするため、うちも卒業前に持たせる予定です」(30代母親 / 1年生女子 / 東京都)

「GPS機能がほしいからスマホを持たせていますが、LINEは禁止にしています。お友だち同士はやってると聞くとちょっと気にはなりますが、トラブルが怖いので......」(40代母親 / 5年生女子 / 東京都)


モバイル社会研究所の調査によると、「スマホを持たせた理由」は「子どもからほしいと言われた」や「友達が持ち始めた」などが上位に。家族の連絡や居場所を確認するためだけでなく、友達との関係づくりのツールとしても活用されているようです。

モバイル社会研究所調査
小中学生にスマホを持たせた理由(複数回答)
出典 : NTTドコモ モバイル社会研究所

下校中に寄り道

いずれは携帯電話を持たせることを視野に入れつつも、いますぐ使う機能を重視して、携帯ではなくGPSを選んだという声もありました。利用しているGPSのサービスとしては、「GPS BoT(新モデル「BoTトーク」)」「みてね みまもりGPS」「まもサーチ」などがあがりました。


「携帯はまだ早いかなと思っているし、本人もほしいと言わない。ただ下校時に寄り道したことがあるので、GPSを持たせている」(40代母親 / 1年生男子 / 埼玉県)

「まだ行動範囲が狭く、デメリットのほうが上回るので携帯は持たせていません。代わりにカード型のGPSを持たせて居場所だけわかるようにしています」(30代母親 / 1年生男子 / 東京都)

「GPSの見守り端末で位置を把握し、たまにメッセージのやり取りをしている」(30代母親 / 1年生男子 / 岐阜県)

「携帯はGPSで居場所を探す機能がとても使いにくいため、携帯とは別にGPSを持たせている」(40代母親 / 3年生女子 / 奈良県)

親の古いスマホが活躍

こどもの行動範囲や下校後のルートによって、最適な連絡ツールは変わります。こどもが自宅にいるときには、AmazonのAlexaアプリで利用できる通話機能を使ったり、保護者が機種変更をする前に使っていた古いスマホを自宅のWi-Fiにつなげて連絡をとったりと、自宅にある機器を親子で活用しているという声もありました。


「家にはWi-Fiで使えるスマホやタブレットがあるし、AirTagを持たせているので、まだ必要ないかな?」(30代母親 / 年長女子 / 岐阜県)

「学校が携帯持込禁止なのと、こども自身が機器の管理に神経を使うのは難しいと判断したため、まだ携帯を持たせていません。学童にいるときは連絡がつくので問題なく、こどもが家にいるときは固定電話やAlexaアプリのテレビ通話で連絡をとっています。高学年になって1人で習い事に出かけるようになり、必要性を感じはじめています」(50代母親 / 5年生女子 / 神奈川県)

「兄は結局持たせておらずそのまま中学3年に。模試を受けに行くときに場所を調べたり連絡を取ったりできず不便だったが、地図をイラストで描いて持たせ、待ち合わせ場所を決めて合流するなど、アナログでなんとか乗り切っている」(40代母親 / 1年生女子 / 東京都)

「1人で習い事に行くようになってから携帯を持たせたが、携帯のない期間をあえてつくった。困ったときに自分で解決する経験をさせたかったため」(40代母親 / 3年生女子 / 神奈川県)

「小さい頃からデバイスに慣らすことで、少しずつリテラシーが高まると思う。我が家の子はみんな携帯を持っていることが当たり前で、逆に執着や興味がない。制限や見守り機能はフルで活用しています」(40代母親 / 3年生男子 / 東京都)


携帯電話やスマホを持たせるタイミングは、高価な機器を大切に使うことや、ICTリテラシーを親子で学ぶチャンスでもあります。

一律に「何年生からOK」と判断したり、「危険だから絶対NG」と決めつけたりするのではなく、こどもの様子を見ながら最適な時期とツールを決めるという意見が多数を占めました。

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親子サポートプロジェクト「6歳からのneuvola(6neu)」では、携帯電話のほか、放課後の過ごし方、保護者の働き方、学校行事の分担、おこづかい、ゲーム、勉強場所などのテーマを順次、取り上げています。アンケートは引き続き募集していますので、ご意見やご経験をお寄せください。

また「6neu応援団」として、課題解決をともに考え、親子をサポートする企業や団体を募集しています。詳しくはこちら(contact@o-temoto.com)からお問い合わせください。

著者
小林明子
OTEMOTO創刊編集長 / 元BuzzFeed Japan編集長。新聞、週刊誌の記者を経て、BuzzFeedでダイバーシティやサステナビリティの特集を実施。社会課題とビジネスの接点に関心をもち、2022年4月ハリズリー入社。子育て、教育、ジェンダーを主に取材。
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