「ゲリラ豪雨」はスマホひとつで避けられる。チェックポイントを気象予報士が教えます

今井明子

夕立やゲリラ豪雨などと呼ばれる急な大雨。保育園の帰りなど、子どもの送迎をするときに大雨に降られると、本当に大変ですよね。でも、天気予報を上手に活用すれば、うまく避けることもできるのです。子育て中の気象予報士が実践しているライフハックを紹介します。

突然の大雨は積乱雲のしわざ

晴れていると思ったら、急に空が暗くなり、大雨が降り出す。夏はこんなことが頻繁に起こります。

以前は夕立と呼ばれてきたこの現象は、最近ではゲリラ豪雨とも呼ばれるようになってきました(ちなみに、「ゲリラ豪雨」は正式な気象用語ではないため、気象庁の天気予報では「局地的大雨」と呼ばれます)。

このような大雨は、積乱雲によってもたらされます。積乱雲は強い上昇気流によって発生し、大雨だけではなく、雷や竜巻などの突風、ひょうを発生させることもあります。

積乱雲の水平の直径はだいたい数km~十数kmなので、大雨の降る範囲はとても狭いです。そして、1つの積乱雲の寿命は30分~1時間程度です。

このように小規模で寿命の短い現象は、予報しにくいという特徴があります。つまり、朝の天気予報では雨マークがついていないのに突如雨が降ることもあるということです。油断して傘を持たずに外出すると、突然の大雨に見舞われて途方に暮れてしまうこともあるのです。

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大雨を事前に知る5つのサイン

しかし、そのような特徴を持つ局地的な大雨も、コツをつかめば避けることができるようになります。

まず最初のポイントは、朝のニュースの天気予報で「大気の状態が不安定」というフレーズが出てくるかどうかです。このフレーズが出てきた場合は、その日に積乱雲が発生しやすいことを意味するので、折り畳み傘を持って出かけたほうがよいでしょう。また、子どもの外遊びに付き添う場合は空模様をこまめにチェックすることをおすすめします。

そして、外出中にこんな兆しが現れたら、いよいよ積乱雲が近づいているというサインです。

・真っ黒い雲が近づいてきた

・空が急に暗くなった

・雷の音が聞こえてくる

・ヒンヤリとした風が吹いてくる

このような兆しが現れたら、気象庁ホームページの「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」や、スマホの天気予報アプリのレーダー画像をチェックしてみましょう。

過去の画像です
気象庁ホームページ 雨雲の動き より

「雨雲の動き」やレーダー画像では、大雨が降っているところは紫や赤、黄色などで表示されます。5分ごとに、60分先までの予報も表示されるので、このあと自分のいる場所に雨雲がやってくるのかがわかります。また、今まさに雨が降っているのなら自分の頭上にある雨雲は何分後に去っていくのかもわかるのです。

子どもを動かすパワーワード

この季節、園や習い事の送迎で突然の雨に降られるとぐったりしますよね。うっかり雨具を忘れてしまい、子どもが風邪を引こうものなら、あとあと大変なことになります。

私は普段在宅で仕事をし、子どもの送迎は自転車を利用しています。しかし、雨の場合は自転車は危ないのでなるべく徒歩で送迎しています。

雨の場合は目的地までの所要時間が倍になるので、早めに出発しなければいけません。また、朝に雨が降っていなかったのに夕方に降る場合は、園へのお迎え時に子どものための雨具も持ち歩かなければいけません。

ですから、送迎時の前には「雨雲の動き」をこまめにチェックし、今いる場所に今後雨雲がきそうか、今降っている場合は何分後にあがりそうなのかを見ます。そして、送迎時に降りそうなら徒歩での所要時間を頭に入れて早めにお迎えに出発します。また、今後強く降りそうな場合は、その時間を避けてお迎えに出発することもあります。

子どもを迎えに行ったあとは、子どもはつい園庭などでだらだらと過ごしてしまいがちですよね。ここでもし雨が降りそうだとわかっているのなら、「もうすぐ雨が降るから早く帰ろうね」という、説得力のあるフレーズで子どもに帰宅を促すこともできるのです。

このように、天気予報を上手に使えば、雨でずぶ濡れの事態はある程度免れることができます。これからの天気が読めない季節に、ぜひ覚えておきたいライフハックです。

著者
今井明子
サイエンスライター、気象予報士。得意分野は科学系(おもに医療、地球科学、生物)。「Newton」「AERA」「東洋経済オンライン」「BUSINESS INSIDER JAPAN」「暦生活」「子供の科学」などで執筆。著書に「面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ」、共著に「こちら、横浜国大『そらの研究室』! 天気と気象の特別授業」などがある。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師、気象科学館の解説員なども務める。
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